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■メルマガ Chicken * F I G H T E R S* 2004/06/12号■

┏━ [1]★ オルタナ会議「in-between」&             ━┓
             ビデオフェス「Move on Asia」                              
    The 2nd In-between International Conference
    Globalism and Alternative Spaces
     2003/05/10-12          レポート:雨森 信               
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韓国のソウルにてアジアのオルタナティブスペースやキュレーター、批評家、
ジャーナリストなどが集まりカンファレンスが開催された。SBSというテレビ局
の新しいビルの中にあるホール。朝10時から夕方までプレゼンテーションや討論
など盛り沢山の3日間となった。

初日はオーストラリアを含むアジアにフランス、カナダも加えて15箇所のオルタ
ナティブスペースのプレゼンテーション。日本からは、東京のA.I.T、名古屋の
+Gallery、神戸のC.A.Pが招かれ、各組織の活動を紹介。オルタナティブスペー
スとひとことで言っても、運営形態は様々。国や地方自治体などからのサポート
体制や関係性も当然それぞれに異なる。共通しているのはまさしくオルタナティ
ブという文字どおり、既存のシステムやスペースの在り方、運営方法に対する
代案として、それぞれの国や地域の状況に応じた必然性から生まれてきた独自
の考え方に基づいて運営されているということ。

2日目は、神谷幸江(ニューミュージアム・アソシエイトキュレーター/NY在住)
トビアス・バーガー(ニュージーランドの「ATTAC it」(ARTSPACE, Auckland is)
ディレクター。今年開催される「サンパウロビエンナーレ」コミッショナー)、
上田雄三(東京の「ギャラリーQ」ディレクター。アジアの作家の展覧会等の企画
を精力的に行っている)、ハン・ドゥ(中国のインディペンデントキュレーター)
による講演のあと、アジアにおけるアートの動向について討論が行われた。オリ
エンタリズム的な視点、アジアにおけるグローバリズム、また西洋主導に対する
問題などについて、それぞれの立場や視点から意見が飛び交った。

3日目には『Art AsiaPacific』誌編集長フランクリン・サーマンス、中国の『現代
藝術』編集者ピー・リー、そして日本からも『ART iT』編集長の小崎哲哉がそれ
ぞれ講演を行い、午後からは「アジアにおけるアートジャーナリズム」について
の討論。我々はアジアにいながら、隣の国やアジアではなく、西洋を見ているの
ではないか?そして、西洋に回収されていくといったような現状、また、特定の
アートファンのみにしか読まれないというアートマガジンの問題点なども議題に
上がった。それに対して西洋に対する東洋/アジアといった2項対立ではなく、
今回のようなカンファレンスを通してネットワークを広げ、自分達で雑誌やウェ
ブサイトなどのメディアをつくっていくことが必要なのではないかという話に
なり、具体的に進めていくような意志が表明され今回のカンファレンスは幕を
閉じた。

Move on Asia
Animation & Single Channel Video Art Festival
カンファレンスに合わせて開催されたのが、約40組の作家によるビデオ作品の
展覧会。会場は同じSBS1Fのエントランスホール。同型同色の箱にテレビモニ
ターとDVDプレーヤーが収められ、それらが等間隔に置かれた会場セッティン
グは、美術館として作られたのではないその空間にはえるインスタレーション
であった。まず、あれだけの数の同じモニターと、専用の箱を用意するのに
いったいどれだけの費用と労力を費やしたのか?という詮索してしまう。
今回のカンファレンスに招待された各オルタナティブスペースの推薦により
集められた作品の内容はアニメーションや実写のものなど、またストーリーの
あるものやないものなど様々。短いものは1分ほどのものから長いのでは60分
を超える長編まで。作品の数がこれだけあると、全ての作品を一つ一つきちん
と見ることが出来なかったのが残念な点か。やはり、15分以上のものを立った
まま見続けるのはつらい。椅子が欲しいところ。各作品の内容に合わせたプレ
ゼンテーションが出来たらもっと良かったように思うが、あのスペースであれ
だけの作品を展示するとなると、今回のような方法が良かったのかもしれない
とも思う。
しかし何より、アジアの作品をあまり見る機会がなかった私にとっては、
なんともありがたい企画であった!
 そして、最後にこのカンファレンスとビデオフェスティバルは、韓国の
オルタナティブスペース、LOOPのディレクターであるソ・ジンソクと
Yellow Sea Publicationsのディレクター、ユン・チェガブによってオー
ガナイズされたオルタナティブな取組みであったことを付け加えたい。

現在、日本でもMove on Asiaを巡回しようという声が上がっていて、8月
前半に大阪ではremo[記録と表現とメディアのための組織]で上映する予定
になっている。もちろん、韓国と同じ方法では無理なので、上映会という
形式プラスモニターなどを使ったインスタレーションで、remoの空間を
活かしたMove on Asiaが出来ればと考えている。乞う御期待!
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雨森 信(インディペンデントキュレーター/remoディレクター)
★remo [記録と表現とメディアのための組織] http://www.remo.or.jp/
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原久子レビュー
映像で見るマレーシア:Malaysia in Moving Images
10/22〜24 remo[大阪]

「マレーシアのアーティストで知っている名前をあげよ、と言われても、頭に浮かぶのは「?」マーク。日本ではそれくらいマレーシアのことは紹介されていない。日本留学8年の大学院生陳維錚が帰国中に探した若手作家の映像作品、アニメーションを中心に上映。マレー系、中国系、インド系と実は各作家のもつ文化的背景が異なる。それを意識して見るのと、意識しない場合とでは作品の理解のしかたに変化があるかもしれない。児童虐待をテーマにしたアニメーションでは、虐待シーンはまったく出てこないがゆえに、むしろ多くを物語るようなところがあった。」

引用=ArtScape[10月22日(金) 原久子]