あっ あふれた oops

 
2004.2.10tue - 2.15sun
neutron 11:00-23:00(最終日21:00まで)
一人の少女 一日の物語 ネオキ ハミガキ タメイキ 記憶の断片 日々がつらなる
 

キャラクターアニメーションと空間インスタレーション
 2人のコラボレーションはアニメーションの物語から、人物と背景を分離してみることから始まります。劉は人物のアニメーション映像を壁に映写しますが、陳は会場に配置される実物セットを通して物語の背景を演出します。

 人物の動作――ハミガキ、タメイキ…など――は日常体験の記憶喚起に用いられたある種の記号と考えてよいでしょう。人々が共通する日常体験の記憶だからこそ、数本の線で描かれたキャラクターから複雑な感情、息、性格、生命そのものまで伝わって、共鳴されるのです。よく考えれば、肉体という実体を持たないこの少女(キャラクター)が私たちに語りかけてくるものは不思議なほど多くあるはずです。

 物語の展開は人物の動作のみによって説明されると思われがちですが、背景も環境設定の説明にとどまるのではありません。そこに置かれている変哲のない椅子は「椅子」としか見えないのはなぜでしょう。もし座面に髪の毛や血痕を発見したら、想像によれば生命の痕跡や人間の気配をすら感じ取れるのでしょう。人は物事をとらえる時に言語以上の様々な記号を応用して解読するとも考えられますが、「記憶」は果たしてそれらの記号の綴りだけなのでしょうか。記号にならならずに直感として記憶されることはあるのでしょうか。

 壁に映るアニメーションを見て、会場に現れる物に触れたりすれば、我々は物語を読み解くよりも、まるで記憶の断片を拾ってオリジナルの物語を作りあげていくのでしょう。

会場:

   

 

彼女の呼吸
 イラスト、映像、ウェブデザインとインスタレーションを制作してきましたが、私はずっとアニメーションを描きたいと思っていました。この展覧会を機に、念願の初アニメーションの制作になります。内容はこれまで一貫した「日常の感触」についてです。ぼーとする一人の時間に、誰でも経験した空想やささいな出来事を形にできたらと思います。
 タイトルの「あっ あふれた」は、まさに平凡な日常にあったりするトキメキそのものを垣間見る一言です。だらしなさ、緊張感、透明感や喜びがまじり、想像が満ちる液体のようなイメージなのです。
 描いてるうちに、主人公の少女が昔から私の中に生きているかのように思えます。描き出すというより、彼女の呼吸、しぐさを見つめて、丹念に写し取っているような気がします。

劉珊
LiuShan リュウサン
http://www10.plala.or.jp/carloe/
中国青島生まれ 女
中国青島出身。京都精華大学映像専攻在学中
インタラクティブ・コンテンツとイラストを中心に制作
『BACA-JA 2003』ブロードバンド部門受賞
『キャノンデジタルクリエーターズコンテスト2003』web部門受賞
作品はNHKデジスタに紹介されるなど
軌道に乗って表現活動を展開中

 

語りかける物
 私の作品は常に同じ過程を経て作られます。生活で直面する問題、悩みが重なれば、解放のために脱出の道を探り始めます。友人の助言や本に書かれた一言がきっかけで、問いかけ自体も考え方も変わることがあります。問題の本質的な理解と解決が見込めるときに、考え方がだんだん一つのコンセプトにまとまっていきます。そのコンセプトをもとに作られた作品を見た人々は、私と意識の共有や共鳴ができます。抱えているのが非常にプライベートな問題だし、その解決法と作品の解釈も私見にすぎませんが、同じ悩みを持つ人間同士にとっては、それらの作品が有意義なのではないかと思います。
 諸出来事によって人間不信に病む私は、「人」の存在の不確かさについて考え続けています。古い記憶を喚起してより確かな感覚にまとめるように我々は昔の記念写真を読み直しますが、まるで目の前にいるように頭に浮かぶ相手の姿は思い込みのイメージにすぎません。
 気持ちを確かめるように男女は自然に体を触れ合うのですが、肉体以外に物質も我々に何かを語りかけているのだと思います。今回は生活空間の中で生活感以上に語りかけてくる物質を真剣に見つめて物と会話する作業をしてみたいと思います。
陳維錚
TanJuiChen タンズイチン
http://tanjc.net
1976年マレーシア・ジョホール生まれ 男
東北芸術工科大学情報デザイン学科卒業
京都精華大学院芸術研究科映像専攻修了
京都精華大学院芸術研究科博士後期課程FineArts領域在籍中
3DCGアニメーション、フィルム、実験映画、パフォーマンスと
インタラクティブ的なインスタレーション制作を発表
『東北デジタルコンテンツグランプリ'98』優秀賞

   

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