マレーシア第1回クアラルンプールビエンナーレ向けに制作発表したインタラクティブ・インスタレーション「Techure」。ブラックボックスの中に置かれている柔らかいオブジェを触れている様子がリアルタイムに、前方にある巨大な岩に投影される仕組み。物体(この場合は岩)を「触覚でみる」と、経験則とのギャップからくる感触の違和感を覚えつつ、新しい共感覚を獲得していきます。テクノロジーを通して認知する世界の空虚さと、手元で掴んだ確かさとの狭間に、体験者は自我の存在がより鮮明に感じられるでしょう。
(神戸ファッション美術館の天井に投影する「軟体都市」(2010)のリメイク版)

This is a neologism created by combing the words “TECHnology” and
“textURE”, Techure describes the strangeness to the touch presented by
technologies. “ure” means an abstract-noun suffix of action, result,
and instrument, occurring in loanwords from French and Latin.

テクスチャー【Texture】
textureの略語でもあるtexは、ラテン語のtextus(織物)を語源とするとともに、繊維の糸の太さを表す単位である。糸の直径の測定がほとんど不可能なために、長さ1000mの質量を表す。このtexに動作や過程・存在を表す名詞語尾の-ureが付き、textureとなった。テクスチャーとは、織物の織り方の結果としての生地を意味する。そして、この生地という意味から派生して、自然物である樹木や石などの手触りとその感触という意味を獲得していく。さらにその表面的な感触を構成している組織や構造という意味まで含み、表面の材質感という抽象的な意味を持つに至った。材質感とは、まず視覚的な印象によって、触感的な印象を誘発することである。改めて対象を触覚的に確認することで、このテクスチャー(材質感)という意味を身体感覚から認識にまで昇華することになる。


Kuala Lumpur Biennale 2017
@The National Art Gallery of Malaysia
2017.11.1 – 2018.3.31
10:00-18:00
http://www.artgallery.gov.my/KLBiennale/