直線的(リニア)と非直線的(ノンリニア)といった単語は、最近のデジタルビデオ編集(いわばノンリニア編集)の普及によって知らされています。
8ミリフィルムを切って張って、切って張って、直線のような1本につなぎ合わせるのに、ノンリニアというのはなぜですか?とよく聞かれたような気がします。そのでは、「リニア」という単語が指しているのは「形」としての「直線」ではなく、ある種の概念です。
過去、現在、未来。時間軸に置かれる出来事(INCIDENT、IVENT)は線でつなげて描くと直線かもしれませんが、時間は線ではなく「相」であり方向しか持たないはずです。前に向かって増加していく時間の値とい延長線の方向です。
ノンリニア編集以前の編集方法はシーンのつながり順として先に来るもの(先に起こるイヴェント)を最初にテープにダビング(Copy)して、次々と時間順でつなげていくことをリニア編集といいます。
その一方、完全に作業的順番を意識せずに、素材がある限り全体のどの部分にあるシーンのつなぎ合わせもできるのは、ノンリニア編集です。
本題に戻ると。
『連』という漢字は「つながる」と読み、個体個体が直線状に並ぶというイメージがあります。「連想」、「国連」などの日本語単語を中国語に翻訳すると、日本語に使われていた「れん」が『聯』と書かれます。日本語の『連』は省略字で、実は昔日本語も『聯』と書いていたようです。
現実で見たある物から、連想するために頭の中で生じる連想の素材、選択肢はA、BとCがあるとします。意識はA、BとCの中からどちらかの1つを選んで現実とつなげます。例えBを選んだとしたら、Bとつなげるために用意される次の選択肢はまたX,YとZがあるでしょう。BにつなげるにZを選んだら、「現実→B→Z」は連想する上で、時間軸上でのリニア的な流れと考えられます。しかし、「現実―ABC―XYZ」という連想素材(記憶・思い出など)の全体構成はノンリニア的で、ツリー型拡散する分枝が見られます。
それはハイパテキスト式で構成されたノンリニア的なウェブサイトでも、閲覧した人の時間軸からみると、実にリニア的に1ページずつを読んでいったことが分かります。
それが私が考えている連想における「リニア」概念の面白さです
2000.11.20
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