2−T ) つらなり形態のモジュール化
声を伝送するために、会話の2人の間にある空気がメディアの役目を果たしていれば、全ての「つらなり」における個体と個体との間はメディアが存在すると考えます。生命の原型は栄養の入口と出口しか持たない消化管だと言われます。情報の入口と出口を持つのはメディアの原型と言えるのでしょうか。その根源的なメディアの原型を探求したいと思います。
インターネットのユーザターミナルや業者によるつらなり、ゲームにおける参加者のつらなり、会話する2人のつらなりから、ハイパーテキストのような非リニア式構成・(時間軸上)リニア閲覧などまで、多数のケースを考察してそれらのつらなり形態のモジュール化を図ります。
2−U ) 連想の表現文法確定
今までの映画、映像表現の中で現実の風景の中に断片的な記憶の風景を瞬時に挿入することだけで「連想」を表現するのが強引すぎると感じます。現実のある要素によって刺激された脳は、確かに瞬時に昔の記憶を拾ってその現実と関連つけながらリニア的に発展していきます。その連想という現象の解釈に基づいて映像化し、他人に見せるには一定な映像的な文法が必要なのです。
ノンリニア編集技術によって展開された映像表現の中で、コラージュ手法以上に複雑な、連想表現の文法・方法論を確定することがとても重要だと思います。むしろ、直感的に連想を映像表現にする目的のみではなく、新たな視覚体験、世界観を生み出すことを目指して研究していきたいと考えています。
2−V ) つらなりの意識化を図るパフォーマンス・ゲーム
物質の波に淹没され、神経麻痺になっている現代人の生活から、人々を呼醒する作品が現代美術にあります。社会批判、環境問題提示などを強調したメディアアート作品はその典型だと感じます。そういった環境に、ネットワークにおける個人、個体の存在・あり方や認識を提示する作品を作り出したいと思います。
例えば、急速に普及して一般電話回線数を上回った携帯電話利用者によって構成された巨大なつらなり(ネットワーク)が実在します。その中で人々はメディアを通じて複雑な交信をしていることを意識していません。そのつらなりの構成を顕在化する作業をパフォーマンスやゲーム形式で繰り広げていく活動を企画しています。
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