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スケッチ 『previous』 計画書 リニア・ノンリニア 「先」とは?

研究計画書 ( 2000.11.20 )

  4年間の間に作った「連想シリーズ」計7作品の完結の見通しができず、「連想」の研究の突破口として、「連」という単語・文字を取って集中的に言語からアプローチすることにしました。

  日本語の「連」は個体がリニアに並んでいるイメージがあることがアンケートを集計した結果から分かりました。一方、中国語での「連想」のれんは「聯」と書かれ、「絡み合う」という意味になります。例えば、「国連」と「国聯」は文字だけの違いに留まらず、民族性、社会意識、国連そのものに対する認識も関連していると思います。そういった言語から始まったつらなり・ネットワーク形態の発見から、また多くの展開があると考えます。

  この研究は大学院2年間を含めて2年半、時間をかけて研究活動を続けたいと考えています。

その具体的な内容は2段階に分かれます:


     
研究計画書

◆ 第 1 段階 (2001年3月まで):

1−T) 100人と「つらねる」について語り合う

  100日間で100人(外国人を含めて)を対象にインタヴューを撮り、記録と文章化作業を繰り返します。

 

1−U) FMラジオとFMワイヤレスマイクによるゲーム(実験)で
      コミュニケーション形態の観察

  FMラジオイヤホンから聞こえている声に返事しようと思ったら、相手に届かずに別の人のFMラジオに発信してしまう仕組みです。ゲーム実験参加者にFMラジオ(受信機)とFMワイヤレスマイク(発信機)を別々にランダムに取って組み合わせてもらい、偶然で構成された10人のネットワーク(つらなり)になります。その中で、1人ひとりがコミュニケーションの個体としての認識、メディアの扱い、通信手段の身体言語化が実験の観察対象となります。

 

1−V ) 「連・聯」言語からのアプローチ
      ウェブハイパーテキスト構成の論文化

  語源の調査によって、単語の定義、漢字変遷の要素などが確定されていきます。それをベースに、(T)の100人インタヴューデータと(U)のゲーム実験結果を分析したデータを考察します。全活動の記録をドキュメンタリーとしてウェブサイト(http://previous.homepage.com)にまとめ、つらなり形態の図解を含めた文章化、理論化を果たします。


       

◆ 第 2 段階 (2003年まで):

2−T ) つらなり形態のモジュール化

   声を伝送するために、会話の2人の間にある空気がメディアの役目を果たしていれば、全ての「つらなり」における個体と個体との間はメディアが存在すると考えます。生命の原型は栄養の入口と出口しか持たない消化管だと言われます。情報の入口と出口を持つのはメディアの原型と言えるのでしょうか。その根源的なメディアの原型を探求したいと思います。

インターネットのユーザターミナルや業者によるつらなり、ゲームにおける参加者のつらなり、会話する2人のつらなりから、ハイパーテキストのような非リニア式構成・(時間軸上)リニア閲覧などまで、多数のケースを考察してそれらのつらなり形態のモジュール化を図ります。

 

2−U ) 連想の表現文法確定

   今までの映画、映像表現の中で現実の風景の中に断片的な記憶の風景を瞬時に挿入することだけで「連想」を表現するのが強引すぎると感じます。現実のある要素によって刺激された脳は、確かに瞬時に昔の記憶を拾ってその現実と関連つけながらリニア的に発展していきます。その連想という現象の解釈に基づいて映像化し、他人に見せるには一定な映像的な文法が必要なのです。

   ノンリニア編集技術によって展開された映像表現の中で、コラージュ手法以上に複雑な、連想表現の文法・方法論を確定することがとても重要だと思います。むしろ、直感的に連想を映像表現にする目的のみではなく、新たな視覚体験、世界観を生み出すことを目指して研究していきたいと考えています。

 

2−V ) つらなりの意識化を図るパフォーマンス・ゲーム

   物質の波に淹没され、神経麻痺になっている現代人の生活から、人々を呼醒する作品が現代美術にあります。社会批判、環境問題提示などを強調したメディアアート作品はその典型だと感じます。そういった環境に、ネットワークにおける個人、個体の存在・あり方や認識を提示する作品を作り出したいと思います。

   例えば、急速に普及して一般電話回線数を上回った携帯電話利用者によって構成された巨大なつらなり(ネットワーク)が実在します。その中で人々はメディアを通じて複雑な交信をしていることを意識していません。そのつらなりの構成を顕在化する作業をパフォーマンスやゲーム形式で繰り広げていく活動を企画しています。

       
研究計画書  ( 2000.11.20 )
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